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黄耆(マメ科)Astragalus membranaceus Bgeについてのノート

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写真はこちら植物名・薬物名・科名:オウギ・黄耆(マメ科)Astragalus membranaceus Bge
処方用名:黄耆・綿耆・綿黄耆・箭耆(せんぎ)・生黄耆・炙黄耆・オウギ
寄贈者名・産地・年月日・経歴:和漢薬研究所・1995,4・中国原産・富山医薬大より
薬用部位・効能・開花・採集時期:開花は8~9月・収穫は2年目の晩秋に根を収穫して刻んで天日乾燥する。
効能:免疫増強・強壮薬、利尿、制汗、血圧降下作用。中国や香港では広く一般家庭で用いられている。
薬用方法:止汗、利尿、強壮薬として、疲れやすく、汗をかきやすい(衛気虚)体質、寝汗、体の腫れ、しびれ、疼痛、小便の出が悪い人に、単味では1日量10gを水400ml加え、半分量に煎じて服用する。
調理方法:煎服・スープ・茶・薬酒
繁殖法:4月、種子蒔き 多年草
①繁殖方法:種子繁殖。発芽は14~15℃、20℃以下で保つ。種子が硬く吸水力に差があり、発芽率は悪い。発芽率をよくするためには、種子採取は褐色の時で、蒔く前に50℃の温水に入れ、撹拌して冷やし(浸すこと6~12時間)、布袋に入れて催芽後に蒔く。蒔く時期は、3月下旬から4月上旬、蒔いた後は土壌の湿潤を保つ。
②管理:日照りに強いが、苗期は一定の水分が必要で、芽が出ないことあり。或いは、干ばつ日照りで無くなる。灌水は少しでよい。雨により、茎に土が付く事を嫌うので、敷きわらをするとよい。ナメクジに注意(若芽を食べる)。12~15cmになった時、12cm間隔に間引きする。2年目、30~50cm間隔に間引く。間引きしたものは、他の場所に植えつけるのがよいが、根付きしにくい場合があるので注意する。
③採取と加工:種蒔き後4~5年の秋、霜が下りた晩秋か芽の出る前の春に収穫。
性味: 甘・微温
帰経:脾・肺
働き
1、補気昇陽:脾肺気虚の内臓下垂、息切れ、めまい、腹脹、下痢
2、益衛固表:自汗、風邪を引きやすい
3、托毒生肌:皮膚の慢性潰瘍の癒着が遅れる
4、利水退腫:むくみ、尿少
応用例
1、内臓下垂:炙黄耆+白朮、杏林人参、茯苓(四君子湯)
2、自汗、むくみ:生黄耆+白朮
3、慢性潰瘍:生黄耆+当帰、川芎、杏林人参、肉桂、鹿茸
注意:できるだけ行気の食薬の陳皮、木香、砂仁と一緒に使用する。
その他:乾燥したものを“生黄耆”、炒ったものを“炙黄耆”という。補気昇陽には炙黄耆、利水には生黄耆を用いる。
基原:マメ科LeguminosaeのキバナオウギAstragalus membranaceus BGE., ナイモウオウギA, mongholicus  BGE.などの根。
臨床上の要点:黄耆は甘温で昇発の性を具え、補気昇陽・固表止汗に働くと共に、補気により生血・生肌し、また「気昇れば水自から下がる」の効果をあらわし、托瘡生肌・利水消腫の効能を兼ね備えている。それゆえ、脾肺気虚の頭眩気短・懶語無力・少食便溏・気虚下陥の発熱畏寒・久瀉脱肛・子宮下垂・気不摂血の崩漏便血
黄耆は、神農本草経に「味甘微温。山谷に生ず。癰疽(ようそ)、久しく敗れし瘡を治し、膿を排し、痛みを止む。大風、癩疾(らいしつ)、五痔、鼠瘻(そろう)。虚を補う。
「小児の百病主る」という薬物。
皮膚の血行が悪く冷え、表面から水分を気化して発散できず、出るべき汗が皮下に溜まり諸々の皮膚疾患に罹ったりします。このような時は、桂枝の薬力を借り、血行を促しつつ滞った水分を排除するといった作用を持っています。
黄耆は単独で持ちいる事はありませんが、栄養豊富なので病中・病後、また疲れて虚した人に当帰や人参の力を借り、滋養強壮の役割を果たす補益剤です。防已黄耆湯、補中益気場、十全大補場、黄耆建中湯、当帰コウほかに配剤、また「紫華栄」にはなくてはならない補益剤として重用されています。漢薬「黄嘗」の基原植物は、中国原産のキバナオウギで、その多年草の太い根を掲り採り乾燥したものと言われています。中国高等植物図鑑第二冊、頁四二四・図二五七七には、朝鮮半島北部からアムール川流域、中国東北部、華北、甘粛、四川、チベットと広い範囲に分布するとあります。日本への生植物の導入は、第二次大戦中または末期のころと考えられます。日本には、本州中部山岳の高山帯にタイツリオウギが生育し、形態的に中国産のキバナオウギに良く似ています。近年は同種だという説に傾きます。移植困難な植物の一つで、繁殖には種子を直播し、間引いて株間15cmとします。排水の良い火山灰土に良く生育、収穫は実生から2~3年に掘り採ります。したがって種子は毎年収納して置かなければなりません。橋本竹二郎著『主治医』より
黄耆 薬味薬性 甘微温 水剤
『神農本経』「味甘微温。癰疽、久しく敗せる瘡、膿を排し、痛みを止め、大風癩疾(らいしつ)、五痔、鼠瘻(そろう)、虚を補し、小児の百病を主る。」
『名医別録』「無毒。婦人の小蔵の風邪気を主治し、五蔵間の悪血を遂い、丈夫の虚損、五労、羸痩(るいそう)を補し、渇、腹痛洩痢(せつり)を止める、気を益し、陰気を利す。
黄耆の主たる作用は、病症では「補虚」「丈夫虚損」「五労」「益気」「利陰気」などにあり、水剤とすべきものと考えます。
黄耆は体表に水滞があり、それを発散できない状態に使う薬です。皮膚表面の血行が悪く、冷えて発散力が弱い人は、皮膚から水を気化して放散できないので、出るべき汗が皮下にたまってしまいます。これを俗に言うあぶら手や腋臭、黄汁になり、この状態が長く続くと、神農本経の「癰疽」「久敗瘡」「鼠瘻」というようなおできや化膿を生じます。
黄耆は桂枝と協力して皮下の水をさばき、微温で貧血や血虚、冷えのある人の血行を促進してくれる薬物です。
甘微温で栄養が豊富ですから、虚証の人の補剤として用いられます。薬膳では癌患者に黄耆の入った粥が供され、気虚、血虚の人は、黄耆と当帰を鶏肉と共に料理する献立が出されます。中国では、黄耆は人参に匹敵するほど大事な薬として重用されています。(渡邊 武著『平成薬証論』)
黄耆温 気虚を専(もっはら) 補(おぎ)ひて つかれて出(いつ)る 汗やむるなり
黄耆をば 蜜をもつくる 塩水に 浸(ひたし)てもよし 兎角焙れよ
                     (橋本竹二郎訳『新編和歌能毒』)
衛気を増強する黄耆:
内モンゴルで栽培された黄耆が最高とされています。一般に3年間生長させたものを収穫します。噛むと甘味があるのが優良品とされます。
①免疫調節作用:骨髄の造血作用を促進し、血液中の白血球の総数とその働きを増強する作用があり、また赤血球の免疫機構を高めます。細胞免疫、液体免疫についても、抗体の生成を促進して、その機能を増強させる力を持っています。さらに、抗ウイルス・抗腫瘍作用も持っています。
②血圧を安定させる:心臓の冠状動脈を拡げ、心臓や脳の血流量を増やし、しかも心筋での酸素消費量を低下させる作用がある。さらに末梢血管にも作用し、高めの血圧を安定させ、ゆるやかな降圧作用もある。
③抗老化の働き:老化による各気能の低下を食い止める。疲労、酸素欠乏、低温に耐える力を高め、肝臓や腎臓の病的な障害軽減する。
④肌の生長をうながす:皮膚や粘膜の損傷を修復する。そのため、傷口の回復や潰瘍の修復に欠かせません。糖尿病の患者の傷口の回復も早めます。
⑤環境への適応力「アダプトゲン」を高める:ストレスに対する適応力を高める。
 a 副作用がなく、長期間服用できる。
 b あらゆる器官に作用する。
 c 身体の働きを常に正常化しようという働きがある。
                            (路京華著『免疫力』) 
黄耆(気を補い、表を固め、生は瀉火の働きがある)
①甘温
②生を用い、表を固め、汗無きは発散し、汗有るは止める
③分肉を温め、腠理を実す。肺気を補い、陰火を瀉し、肌熱を解く。
④炙して用い、中を補し、元気を益し、三焦を温め、脾胃を強壮する。
⑤血を生じ肌を生ず、内に託する瘡癰を排膿する聖薬である。
⑥痘證で起きられず、陽虚にて熱無き者に宜しい。
⑦補薬の長の為に、耆と名づける。
⑧皮膚黄色にて肉白く、堅実の者は良い。
⑨中を補う薬に入り、蜜にて炙す。表に達すれば生を用いる。
⑩茯苓は使と為す。
⑪亀甲・白鮮皮を悪む。
⑫防風を嫌う。
(汪昴著・寺師睦宗訓『本草備要』)
参考文献
橋本竹二郎著『主治医』より
橋本竹二郎訳『新編和歌能毒』
神戸中医学研究会編著『中医臨床のための中薬学』
辰巳洋著『薬膳』
水野瑞夫監修 田中俊弘編集『日本薬草全書』
渡邊 武著『平成薬証論』
上海中医学院出版『薬用植物栽培と加工』と私の経験
路京華著『免疫力』
汪昴著・寺師睦宗訓『本草備要』
上海中医学院出版『薬用植物栽培と加工』
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