カロウ(類似日本産:キカラスウリ) 夕暮れの薬草苑をひとり散策していると、世にも珍しい花に出遭います。 風に揺られ異様な雰囲気の花びらを持ち、周りは薄暗いのに、カロウの花だけが白く輝いています。次の日の朝10時頃にはその妖精は消えてしまいます。カロウの花は夕刻より早朝にかけて咲く「夜咲き草」なのです。雌雄異株で、種を蒔いて2~3年目の夏七月に花を付け、10月なると蔓の所々に真っ赤な色の実を付けます。 てんかふん(天花粉)という名をご存知だと思いますが、この根から作られていました。この粉は水分をよく吸い取ることから汗止めに応用され、皮膚の炎症を取り潤す働きがあるのであせも予防にとてもよく効きます。根から採った白い澱粉を使い、それが白い雪を連想させるので「天花粉」と書くのだそうです。(現在の別名シッカロール等は残念ながら天花粉から作られていません。)『神農本草経』の中品としておさめられ、根は止渇、解熱、鎮咳の目的で、実や皮は胸痛をともなう咳嗽、多痰、消炎などに応用されています。 |
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1100年代、元軍によって根こそぎ持ち去られ絶えてしまい、やがて台木の“聚八仙”が「瓊(けい)花(か)」と呼ばれるようになったようで、現在では揚州市の代表する市の花となっております。(現在の「瓊花」は唐代のとはやや異なりますが、同類の木であることはまちがいありません。私が瓊花にあった場所は、揚州市・大明寺境内の鑑真記念堂と痩(そう)西湖(せいこ)、奈良市・唐招提寺境内の鑑真和上御廟です。鑑真和上様ゆかりの地にしか見当たらない希少な低木で、忍冬科に属し、学名はViburnum Macrocephalum Fort, 落葉あるいは半常緑の低木で高さは4mにも達します。 それぞれの開花時期は、唐招提寺は5月上旬、中国大明寺は5月上旬から中旬、私共の薬苑は5月下旬頃です。一度、訪問してみてはいかがでしょうか。 |
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