卵巣を,生殖細胞の産生という観点から精巣と比較すると,精巣は生殖細胞を生産しながら供給している(72日かけて精子が出来ます)器官であるのに対し,卵巣は、貯蔵している生殖細胞を消費しながら供給している器官であるといえる。これはヒトを含めて殆どすべての哺乳類において、卵巣における生殖細胞の増殖が胎生期に限定され出生後に増加することはないからである。
つまり将来排卵する卵子のもとである原子卵胞が障害されると生涯にわたって影響します。
以下のリンク先の内容からわかる事・・・
http://www.fdsc.or.jp/AnnualReport/AR27/AR27_36_48Shirota.pdf
卵巣は,貯蔵している生殖細胞を,それが枯渇するまで少しずつ消費していくことになるが,生殖細胞が枯渇すると,卵巣で産生されるエストロげンやプロゲステロンといった性ステロイドも分泌されなくなるため 。卵巣の内分泌器官としての機能も変化する。実際,ヒトでは、更年期障害といわれる臨床 症状が認められる時期に、生殖細胞の残存数が著 しく減少していることが報告されている。
生殖細胞の減少・枯渇は、加齢に伴い認められるようになるが、化学物質の中にも生殖細胞数を 減少させるものがある。
__ここまで抜粋___
以下は子宝先生の解釈です。
今回の実験にて分かったことは・・・
雌性生殖細胞 の貯蔵庫である原始卵胞をとりあげそれに影響 を及ぼす化学物質、4 ― vinylcyclohexene diepoxide(VCD)を中心に,、作用機序と毒性表現型を概説した。
VCD・・・4-Vinyl-1-cyclohexene (VCH)の体内での代謝物です。VCHはプラスチック,合成樹脂,接着剤の原料であり体内で代謝されてVCDとなる。
つまりVCHを摂取することによって体内にてVCDとなる事で、原子卵胞、一次卵胞に作用しアポトーシス(自殺)を誘導し、卵胞を退行させ、その数を減少させることが分かった。
そして注意なのは、このVCHはマウスに投与しても毒性は示さない種がいるということ。なぜなら、ある特定のマウスにはこれを代謝する酵素がないので、マウスのの体内ではVCHからVCDは作られないからである。
よくこの物質は毒性が無いとか、安心して使用される。と言います。もちろん人間で実験がされているとは限りません。
人間だから毒性があらわれる、しかも生殖能力に影響を与えるのです。
以前、アスパルテームが精子に影響するという記事を書いたことがありますが、マウスの実験をもとに安全基準を出したのかもしれません。
ここでふと思いました。
4-Vinyl-1-cyclohexene(VCH)ってプラスチックの原料なのですよね。
どこにでもある単純な構造式です。
いわゆる化学物質って全て生殖能力に影響しているのでは???
してるでしょうけど・・・。
工業製品の専門家の方がいらしたら教えてくださいm(__)m