今回は体外受精における素朴な疑問をご質問頂きました。
facebookメッセージによるご質問ありがとうございます。
Q.【D3に卵が4個見えました。なぜ採卵日に1個になってしまうのでしょうか】
A. 排卵日までに淘汰されてしまうからです。
【解説】卵胞はなぜ淘汰されるのか?
POINT① 生理3日目(D3)の卵胞はすでにおよそ半年前から成長を始めている卵胞が淘汰されて生き残ったものです。
POINT② 卵胞はすべて同じではありません。個体差があります。個体差とは、それぞれの卵胞の中の細胞の数の違いなのですが、この細胞を顆粒膜細胞といい、顆粒膜細胞には卵胞を育てるための受信機(FSHレセプター)が存在します。
POINT③ この受信機の数が多いか少ないかで生き残って排卵または採卵できるかどうかが決まります。
以上を踏まえて、
例えば、10個の卵胞がD3に育っていたとします。卵胞の成熟までに1個が選ばれるのですが、なぜこの一個が選ばれるのでしょうか?卵胞にはそれぞれにFSHレセプターがあります。しかし、そのレセプターの数や感受性には個々に差があるのです。脳下垂体からのFSHの命令によって卵胞が成熟するのですが、感受性が高い、またはレセプター数が多い卵胞が優先的に成長します。レセプターが少ないまたは感受性が低いと、成熟までに時間がかかるのですが、その間に脳下垂体からのFSHの命令が来なくなります。
※この間、卵胞が育っているという命令(エストラジオール)でsる負のフィードバックが起こりFSHの命令は弱くなっていくので、成長がとまる。つまり淘汰されるという事です。
治療では、FSH製剤を投与することで、感受性の弱い卵胞も成長させることで淘汰される予定の卵胞も成熟するという考え方です。
FSH製剤使用によってキャンセル率を低くするためには、受信機(レセプター)の感受性を良くしてあげないといけないですね。