正しい痩せ方
今日は2017年2月26日第6回生命の神秘~いのちの授業~にて講演をしていただく長尾先生の記事より転載です。
若い女性といえば、ダイエット関連の記事に目が無いでしょうから、これで僕の人気も上がること間違いなしですね。というわけで、今日は正しい痩せ方について説明しましょう。
まず、肥満は病気であって、必要なのはダイエットではなくて治療だと、僕は常々言い続けてきました。肥満というのは体脂肪が適正以上に蓄積されている状態を指します。体脂肪がどこに蓄積されているのかといえば、全身の脂肪細胞です。脂肪細胞が中性脂肪をどのように溜めこむのかといえば、インスリンによって血液中のブドウ糖を取り込んで合成することで、中性脂肪が蓄積していきます。
血液中のブドウ糖は食事からやって来て、その元は糖質です。糖質の過剰摂取がインスリンの過剰分泌を招くことはこれまで何度も述べてきました。そう、機能性低血糖症(いわゆる低血糖症)でしたね。ですから肥満とは低血糖症という病気の一症状として現れているものなのです。ですから体脂肪率が高く、肥満で痩せたいと思っている人は、ダイエットではなく低血糖症を治さなければならないのです。
低血糖症は糖質の過剰摂取が原因で起こる疾患です。そして糖質自体、人間は全く摂らなくても健康上全く問題の無い栄養素です。ですから安心して、普段の食生活から糖質を一切排除してくださって結構です、はい。たったこれだけで低血糖症は治ります。どうです、単純でしょ?
普段の食事から糖質を一切排除すれば、少なくともこれ以上は太ることはありません。血糖値上昇とインスリンの過剰分泌は無くなり、脂肪細胞がこれ以上の中性脂肪の蓄積を行わなくなるからです。でもこれだけでは痩せたことにはなりません。溜まってしまった中性脂肪を落としていかなきゃいけませんよね。
体はむやみやたらに脂肪を蓄えているのではありません。脂肪は人間の活動にとって重要なエネルギーなのです。脂肪は肝臓でケトン体に変換されてから、主に全身の筋組織で活動のためのエネルギーとして使われます。脳や目の網膜など、一部の臓器を除いて全身の活動のエネルギーの大部分を脂肪で賄う事ができます。そして脂肪を最も燃焼する組織とは、骨格筋です。骨格筋は安静時でも体温を生み出すために常にエネルギーを必要としています。筋肉が増えれば増えるほど、脂肪もまたどんどん燃えていくのです。
ところが長らく糖質の過剰摂取によって低血糖症の状態が続くと、先に説明した通り糖質コルチコイドが筋肉を痩せさせてしまいます。低血糖症の人は筋肉量が低下していますから、ある程度の筋トレで筋肉をつけてあげる必要があります。もちろん筋肉はタンパク質の塊なので、良質のタンパク質、それもなるべく動物の筋肉である肉をたくさん食べることをお勧めします。
正しくきれいに痩せるためには、このように準備が必要なのです。まずは糖質の過剰摂取を改め、糖質をなるべく摂らないようにすること。そして筋肉の原料となる良質のタンパク質をしっかりと摂ること。カロリーなんて一切気にする必要はありません。おなか一杯好きなだけ食べてください。大丈夫、糖質さえ摂らなければ決して太りませんから。
低血糖症の克服とある程度の筋肉量の増強ができるまでは、体重は残念ながら減りません。何せ筋肉は脂肪よりもかなり重いですから。そして十分な筋肉がつけばあら不思議、何もしなくても自然に脂肪が落ちていきます。カロリーを気にして食事を我慢することなく、お腹いっぱい毎日食べ続けていても、自然にどんどん痩せていくようになるのです。この、自然に痩せていく体になるのには、大体1か月くらいはかかります。でも一旦この痩せていく体になれば、あとは糖質の摂取さえ制限していれば、他には何ら努力することなく痩せていくことができるのです。
でも甘い物大好きだし、糖質を控えられないというあなた。それは覚せい剤を常用しながら健康になりたいなどとほざいているようなものですよ。砂糖は麻薬ですから、そんなものに依存していて健康になんて絶対になれっこありませんからね。