昨年6 月2 日に放送されましたNHK「きょうの健康」で国立国際医療研究センター糖尿病研究センター長植木浩二郎氏が次のように高齢者の糖尿病について目標値の変更について説明されました。
2016 年5 月、日本糖尿病学会と日本老年医学会は、糖尿病の高齢者がめざすべき血糖管理の目標を新しく定めました。
一般成人は過去1〜2か月の血糖値の平均を示すヘモグロビンA1c で7%未満が基本の目標ですが、高齢者は一人一人の健康状態などに応じ7%未満、7.5%未満、8%未満、8.5%未満のいずれかを目標にします。つまり、高齢者は少しゆるめの目標になったのです。つまり、血糖値を下げることに注視することで低血糖症状を呈してしまうということです。
とありますが、いつも私は思います。血糖値を下げる事を前提とする治療ではなく、血糖値を上げない前提の治療でない限り一生糖尿病と付き合わなくてはいけないのではないでしょうか。
低血糖とは?
糖尿病の薬が効き過ぎるなどによって血糖値が下がり過ぎることを言います。高齢者は薬を分解する肝臓や、薬を排せつする腎臓の働きが低下するため、血糖を下げる薬が効き過ぎて低血糖を起こしやすくなるのです。しかも、自律神経や認知機能が低下している場合は低血糖に気づきにくくなります。高齢者が重い低血糖を起こした場合、心筋梗塞・脳梗塞、認知機能下、転倒・骨折などのリスクが高まります。糖尿病の治療は高血糖を改善するために行いますが、低血糖も同じくらい避ける必要があるのです。
糖尿病の治療中に低血糖を起こす原因は薬ですね。薬の特徴は、食前に投与するもの、食後に投与するものがありますが、前提が【食べる】なのです。もう少し詳しく言うと、【血糖値をあげる食事の前又は後】に投与するものなのです。
私の患者さんには妊娠糖尿病と言われる方がいます。一ヶ月後の健診の際に血糖値が高いとインスリンの投与が必要で、管理出産となります。1ヶ月の間になんとかならないですか?という声が多くあります。また薬を使用していないのなら食べるものを見直すことによってなんとかなります。妊娠前から準備していても、妊娠糖尿病となるかたもいらっしゃいます。普段から気をつけておかないといけないですね。